飛行データの分析
飛ばした後に、
もう一度飛行を読む
機体は飛ぶたびに記録を残します。私たちはそれをAIにかけて読み解き、 次の便の計画に戻しています。2026年6月19日、 南アルプス・広河原での物資輸送を例に、実際の分析を4つ載せました。
01
1便の電池は、どこで減るのか
積載40kgの便を、離陸から着陸まで1本の線にしたものです。 線の傾きが、そのまま電池の減る速さになります。 荷を吊って登る区間がいちばん急で9.2%/分。 頂上でホバリングしながら荷を降ろす間は5.3%/分に落ち、 空荷で降りる区間は3.2%/分。 往復10分ほどで、残量は96%から33%になります。
02
重さだけでは決まらない
上り区間だけを3便ぶん重ねた図です。線が急なほど電池の減りが速いことを表します。 いちばん急なのは最大荷(約48kg)の3便目で12.0%/分。 ところが積載40kgの2便目は、上昇を毎秒2.5mに抑えたぶん 9.2%/分で収まり、それより軽い便より緩やかでした。 荷の重さと同じくらい、登り方が効いてきます。
03
どの動きが、いちばん電池を使うか
当日のすべての局面を、消費レートの順に並べたものです。 最大荷での上昇が12.0%/分、空荷の上昇が8.1%/分、 頂上のホバリングが6.3%/分、空荷の降下が4.8%/分。 上りと下りでは2倍以上の開きがあります。 便ごとの残量を見積もるときは、この局面別のレートを積み上げて計算しています。
04
消費を決めるのは「積載 × 上りの速さ」
横軸に昇降速度、縦軸に消費レートを取ると、点がきれいに分かれます。 上昇はどれも8〜12%/分の帯に入り、 降下は3〜5%/分。 重く、速く登るほど右上へ寄っていきます。 現場の条件から飛べる時間を見積もれるのは、この関係を数字で押さえているからです。
分析の進め方
飛行後に残るのは、機体と送信機のログ、そして操縦画面の録画です。 録画から高度・残量・フック荷重・昇降速度を時刻つきで読み取り、ログと突き合わせて1本の表にします。 ここまでを整えたうえで、局面の切り分けと傾向の抽出をAIにかけ、図に起こしています。
分析の目的は、記録を残すことではありません。 次に同じ現場へ行くとき、何便で運べるかを事前に見積もれるようにすることです。 新しい現場のご相談をいただいたときも、標高差と距離と荷の重さを聞けば、 ここまでの実測をもとにおおよその便数と所要時間をお答えできます。
※ 記載の数値は当日の飛行記録および操作画面録画の読み取りに基づく概算値です。気温・風・積み方によって変わります。